「聖なる好奇心をもちたまえ。人生を生きる価値のあるものにするために」
「好奇心はそれ自体で存在意義がある。」
「人は永遠や人生や、驚くべき現実の構造の神秘について熟考すれば、必ず畏怖の念にとらわれる。
毎日この神秘のたとえ僅かでも理解しようと努めれば、それで十分である。」
「聖なる好奇心(a holy curiosity)を失うな。成功した人間(a man of success)でなく、
価値ある人間(a man of value)になろうと努めよ。
今日では人生に自分が投入した以上の見返りを得る人間が成功者と見なされる。
しかし価値のわかる人間は、(他人から)受け取るよりも多くのお返しをするだろう。」
アインシュタインの言明の一節です。
「成功した人間」と「価値ある人間」の対比が強調され、これを「聖なる好奇心」という主題で冠しています。
世間はつい、a man of success(成功者)になろうとあくせくしますが、人生は複雑であり、故に奥深い。
探検者は困惑するが、もとより「困難は喜びの別名」でもあり、
そのため科学の世界においても、理論の発見が困難であると同時に、多くの喜びと満足を発見者に与えるため、
題目は自然科学であるにも関わらず、一流の科学者はすべからく人格者たり得ます。
アインシュタインの言葉で言えば、a man o successは、見ても意味のない月を見ようとなどしないでしょう。
価値(value)ではなく能率(efficiency)を尊ぶ生活において、月を見る時間は無駄だからです。
それに対し、a holy curiosity(聖なる好奇心)を持つ人間は、a man of value(価値ある人間/価値のわかる人間)として、
日々見落としがちな陣勢の不思議さ、複雑さにも目を向けるでしょう。
それは人間が機械化する価値への抵抗、言い換えるなら人間性回復のキーになると思われます。